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小説をどのようにして書いたか? ―短編での事例―

 

自作の短編小説について、少し振り返ってみました。
対象は『夢を見るネコ』と『とある女子中学生の初体験』の二つです。

内容としては以下のとおりです。

①ネタについて(どのようなキッカケで書いたのか?)

②制作について(どのような手順で書き進めたのか?)

 

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夢を見るネコ

(文字数:約1,500字)

―あらすじ―

自称エレガントなネコが、対人(対動物)関係のちょっとした不満をグチりつつ、眠りにつく話です。

 

①ネタについて

現実の話ですが、ある日、普段交わらないタイプの人と接する機会がありました。

せっかくの機会だったので、友好関係を築いてみようと努力はしてみたものの、結局その相手と親密になることはできそうにありませんでした。

私はこの体験によって、自分が考えた事や、自分の気持ちを整理したいと思いまして、帰宅後すぐにメモを取りました。

そして、それを書き終えた瞬間に閃いたのです。

これって小説のネタになるのでは? と。

 

②制作について

メモ書きの内容がそのまま転用できそうだったので、プロットづくりは必要ありませんでした。

メモした後にやったことと言えば、私と相手の相対的特徴をネコとイヌの特徴に置き換え、エピソードも動物の日常に変換しました。

この小説はかなり短めなので(400字詰め原稿用紙換算で4枚分くらい)、結局、その作業もあまり考え込まずにできました。1~2日程度で書けましたね。

このような経緯で完成したので、この小説は練りに練ったものではありません。

自然発生的に生まれたネタを、形にした、そういう小説でした。

日常的に新しい発見を探したり、知見を得ようとすることが大切なんだと思います。

小説家になろう:『夢を見るネコ』のページ

youtube:『夢を見るネコ』のページ

 

 

とある女子中学生の初体験

※キャッチーなタイトルですが、全年齢向けの健全な小説です。
(文字数:約16,800字)

―あらすじ―

私はごく普通の中学二年生。特に大きな悩みはないし、未来予想図だってまっさらだ。
そんな私は、ある日の授業中に体調を崩して保健室のベッドで休むことになった。
よほど具合が悪かったのか、私はすぐに眠ってしまい……
目が覚めると、私の体が小さくなって――はいなかったけど、なぜか目の前に“私”がいた。

 

①ネタについて

別に何かしらの外部刺激があったわけでもなく、
私は不意に「何か分身ネタを書きたいなー」と思いました。

これが事の始まりでした。

もしかすると、読んでくださった方は「思春期特有の情緒を書きたかったのかな?」と捉えたかもしれませんが、実は入り口は違いました。

…まあ入り口はどうあれ、出来上がったモノがすべてですしね。

ちなみに分身という超常現象について、特に隠された設定などはありません。
(安部公房好きとしてはそこに現実味を持たせるべきなのかもしれませんけれど…どないせいっちゅうねん)

 

②制作について

こちらは夢を見るネコとは違い、気持ち先行でつくり始めました。
そのため、99.9%はゼロからのスタートでした。


最初は、分身してしまう主人公の立場を決めることから着手しました。

立場が決まれば、舞台もエピソードもおのずと引っ張られることになりますからね。

大人を想定すると、深刻に悩み込んでしまう姿が見えました。
幼児を想定すると、一緒になって遊んでいる姿が見えました。

どっちも面白くならなそうだな…ということで、その中間である学生に白羽の矢が立ちました。

学生と言えば、良くも悪くも未成熟な存在です。
幼児ほど希望に溢れておらず、大人ほど絶望に染まっていない。
主人公にはぴったりの存在だと思いました。

余談ですが、将来なりたい職業ランキングも調べまして、小学生のランキング上位に公務員が入っていないことに安堵しました。


立場が決まれば、分身の理由はすぐに決まりました。学生という肩書きは、まだ何者でもない証です。

ということで、主人公の人物設定も定まってきます。
野球部のエースや、将棋界のホープなんて設定はダメです。
学生以外の肩書きを持っていない者――つまり、アイデンティティを確立できていない人間です。


今回は特別理由もなかったため、現代を舞台としました。
その場合は世界観を考える必要がないので、これでお話づくりを開始できます。


プロットを考え出すにあたり、今回は分身を主軸においていたので、分身の始まりのシーンと終わりのシーンから考え始めました。
せっかくの現代ファンタジー要素ですから、読者の脳裏に投影されやすいような丁寧さと、記憶に残るような綺麗な描写を心がけましたね。

スタートとゴールが決まったと同時に、おおまかなコースは想像できていました。
なので、次は具体的な道のりについて考え始めました。
どんな道を通れば、納得のいくゴールができるのか?
主人公にしかるべき変化を起こすにはどんなイベントがあるべきなのか?
…という感じに。

道が決まったらイベントを配置します。
また、イベントの肉付け次第でゴール時の達成感が違ってきます。


…と、これで完成です。
考えたことはもっと多かったですが、大筋はこんな感じでした。


夢を見るネコも短編と位置付けていますが、こちらの文字数はその約十倍です。

結構な時間と労力を割いて書き上げましたので、こちらの方が『小説を書いた』という印象が強いですね。

小説家になろう:『とある女子中学生の初体験』のページ

 

 

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こうして自分で書いた作品を振り返ってみると、愛せていることが実感できました。

他所の子よりも自分の子どもが可愛く見えるって、こういう心境かもしれません。

 

以上、『小説をどのようにして書いたか? ―短編での事例―』でした。